日々是妄想

読書が好き。食べることが好き。哲学が好き。引きこもりがちな私の日常。大体妄想中。

大体の妄想は現実的

昔からわりと「なんかワカンナイけど思い通りになっちゃったー(・∀・)」なタイプではあったと思う。

子供の頃よりも、成人してからのほうがむしろ「現実」とか「常識」という概念が薄まり、より「思い通りになっちゃったー」体験が増えていった。

今にして思うと、大学時代の経験が大きいように思う。

私の通っていた大学には、生徒も教授も、奇人変人しかいなかった。でも当時はそれが普通だと思っていた。
バイトをするようになり、一般的な大学生ってものを目の当たりにした時のあの衝撃は今でも覚えてる。

授業の取り方ひとつ、サークル活動ひとつとっても違いすぎて驚きだったのだけど、そこは大学の特性上、仕方がないのでまだ理解できた。
ただ、それ以上に「あ、うちの大学っておかしいんだ…」と感覚的に理解してしまった。


ちなみに、私が通っていたのは某芸大。
私は美術学部だったけど、何故か仲良くなる子は音楽学部の子が多かった。


なかでも声楽科の子達は、感情が高ぶるとクルクル回りながら歌い出す子が多かった。
「なんーてー、すてーきー♪ららら♪あおーいーそらー♪」などと歌って踊りつつ、廊下を歩いてくる。
一人が歌い出すと、大抵近くにいる別の声楽の子や管楽器の子達が即興でコーラスをつけてくるので、大合唱になる。大合唱になると、途中から大抵イタリア語になる。何歌ってんだかさっぱりピーマンである。

大合唱の中をクルクル回って歌いながら歩いてきて、「ひなーおー♪我が友ー♪」と唐突な日本語及び名指しで、ビシッとターンまで決めて手を差し出された時の私の気持ち、想像して頂けるでしょうか?

当時は今よりもっと根暗で引きこもりだった私からしたら、なんの罰ゲームだって話です。

大学時代も今と変わらず、活字中毒であった私の根城は大学の図書館。

明るい陽射しが燦々と降り注ぎ、普段は講義棟が離れている美術学部と音楽学部の出会いの場でもあったガラス張りの閲覧室、では勿論なく。
薄暗くて埃っぽい、ほとんど誰も訪れない、いるのは論文に追われて鬼気迫った教授や、スランプに陥り廃人と化した油絵科の子くらい、という地階の書庫を根城にしていた。


そんな私に、ディズニー映画の真似事なんて出来る訳がなかろう。
(…ディズニーアニメを見て感じる、何とも言えない既視感の原因に今気づいた。元・日常風景だった。)


しかし、音楽学部の友人達はそんな私の困惑などお構い無しだった。感情のままに歌い、踊り、楽器を掻き鳴らしていた。周囲を盛大に巻込みながら。


そんな子達が恋愛をしたら、どうなるか?
そんなもん、カオスに決まってる。


失恋した子を慰める会に呼ばれて行ったことがあった。
バイト終了後に遅れて駆けつけた私は、目的地の50メートル手前からもう帰りたくなった。
だって、50メートル手前からもう聞こえてくるんだ。
全員ガチ泣きのイタリア語オペラ。なまじプロい分、声量が半端ない。加えてビオラとヴァイオリンの演奏付き。時折聞こえる何かの打音。たぶん打楽器の子たちが店のテーブルか何かを叩いてる音だ。


待て待ておかしいだろう!いくらなんでも、人様の迷惑だろう!美術組、何してんの?!止めようよ!


しかし、店に入った私は自分の愚かさに気付いた。


その日、人類は思い出した(アルミン調)
美術学部、やつらも奇人変人の集まりだった、ということを。


私が到着したとき、油の子と日本画の子は一心不乱にデッサンしていた。泣きながら歌う顔を間近に見られるチャンスなんて滅多にないから描き留めておきたいのだそうな。
デザイン科の子は、色紙をいろんな形に切って遊んでいた。たまに紙吹雪ー♪とか言って舞台演出をしていた。


なんなのこの人たち自由すぎる!!!


周囲がこんな調子であったので、大学時代、私は自分のことをごく普通の一般人だと信じて疑わなかった。
しかし、社会に出て一般企業に就職した私は思い知った。私自身も相当「変人の自由人」であることを。


しかし、自由度が高いということは、言い換えれば「余計な思い込みが少ない」「思い込みの書き換えに抵抗が少ない」とも言い換えることができる。
これは、私にとっては財産になった。


そして、もう一つ。


こんなぶっ飛んだ友人達の体験談は、やっぱり、ぶっ飛んでいるのである。
私の常識も想像も及ばないような体験談が山盛りメガ盛りでお腹いっぱい、なのである。

だからこそ「あり得ない」の、ハードルが著しく上がった。私のご都合主義全開な妄想なんて、あの人達の体験談に比べたら、現実的すぎて涙が出るレベルだわ、と心の底から思えるから。


例えばね?
金髪碧眼の美青年(185センチ、モデルで投資家なお金持ち)に見初められて、ふたりで手をつなぎながら湖畔を歩くの♪それで、彼が言うのよ。「君は僕の女神だ。」そして彼は、ひざまずいて私の手の甲にキスするの。それからふたりでボートに乗って歌うのよ。彼が感極まって途中で(以下略)

ええ、ええ、わかります。
私だって寒イボがたちますよ?
こんなことを本気でほざく友人がいたら「目ぇ覚ませ!」ってバチコンやりたくなりますよ?



でも、これ知人の実体験ですからね??
妄想じゃなくて。現実の出来事なの。しかも日本。



信じられない?
じゃあ、こんなのはどうよ?



夏休みにね、伯父に会いにフランスへ行ったの。私、長時間のフライトで疲れてしまって、電車の中でついつい、うたた寝をしてしまったの。だって車窓からの風景がとてものどかで、美しくて、すっかり癒やされてしまったんだもの。
目が覚めたら、私の隣の座席に白いカードが置いてあったの。何かしら?って思って手にとったらそこにはフランス語でこう書かれてあったのよ。「あなたの美しい寝顔で、私の心を満たしてくれてありがとう。あなたはまるで、天使のようだ」って。
まあ!誰がこんな素敵なメッセージを?って思わずあたりを見回したら、白い髭を蓄えた素敵な紳士がこちらを見ていたの。夢のような一時だったわ(ウットリ)


これは私の3つ上の先輩のひと夏の体験談ですよ。
この方にとって、こんくらいフツーなんです。昔っからそーなんです。僻む気にもならないくらいぶっとんだおジョーサマなんです、ええ。


まだまだありますよ?


肉食系を通り越して猛獣系女子な知人に「海行こう!」って誘われて「いや、太陽と砂浜は敵なんで」って辞退したら「大丈夫!屋内だから!」って訳わからん返事をされて、半ば強引に連れて行かれたんですよ。

乗せられましたよ。クルーザーに。
連れて行かれましたよ。別荘に。

猛獣系知人はお酒が大好きで騒ぐことも大好きで、華やかな雰囲気が大好きな子です。
「毎週パーティーしたい!毎週クルーザーでシャンパンあけたーい♪」って大学の頃からよく言ってました。
有言実行。あんた漢や。漢前や。

しかし私は初対面のイケメン(色黒爽やかな海の男達)や美人揃いの女の子たちと住む世界が違いすぎて、おまけに下戸で全く飲めないのに、どうやってパーティーを乗り切っていいのかわからずお腹が痛くなった記憶しかない…

ルブタンに入って「これとこれちょーだーい♪あ、こっちの色違いのやつ○○ちゃんに絶対似合うー♪お土産に買ってこーっと!」っていうセリフ吐く人、初めてみましたよ。ルブタンって手土産に出来るものなんだね…
ヒルズ族な彼氏って、取っ替え引っ替え、出来るものなんだね…

更に驚愕の真実。
この子、一度たりとも勤めたことがない。笑

楽して贅沢、を地で行く子です。
見習おう…


私の周囲のぶっとんだ人達について話し出すとキリが無いです。絶対ネタだよねって言われるような話しか無いです。恐ろしいことに、すべて実際の出来事、それもわりと日常茶飯事。


以前、【わたしの理想のメガネ男子】について222項目をこえる大量のリストをこさえた事があります。
大学時代のことを思いかえしながら読んでると、いつの間にか「世間の常識」ってものに、知らずしらずハマっていたんだなぁという事がよくわかります。


そのくらい、私が普段している妄想なんて、現実的。


いつの間にか、コチコチに頭が固まってしまってたみたいです。え?いやいや十分夢見がちだろwというツッコミは却下します。

大学卒業直後の私なら、もっとブッ飛んだリストになってたはずだ。周囲に感化されて、あの頃の私はたぶんけっこう、いやかなりぶっ飛んでた。
思い返すと、現実にもそれがちゃんと反映されてた。


今よりだいぶ派手な暮らしもしてたし。
お金はどこから出てたんだろう…
謎である。


という訳で、いま私は絶賛・幼児返り、じゃない大学生返りキャンペーン実施中です。


ふんぬぉぉォー!
甦れ!!我が妄想力っっ!!!